日本語補習授業校ってどんな教育施設?
海外の学校に通学しながら日本語教育が受けられる日本語補習授業校をご存知でしょうか?海外に住む日本の子ども達が通う学校としてよく知られているのが「日本人学校」。日本の子どもを対象とする点では同じですが、それぞれ特徴が異なります。今回は日本語補習授業校の特徴や、学校の授業内容、日本人学校との違いについて詳しく紹介します
日本語補習授業校とは
日本語補習授業校とは、海外の現地校(現地の国の子どもを対象とした学校)に通う子ども達のための教育施設です。転勤などの理由で海外生活をする子ども達が、再び日本国内の学校に編入した際にスムーズに適応できるよう、日本の学校文化を日本語で学習します。普段は現地校に通っていますが、平日の放課後または週末に国語を中心とした基礎的な知識を学びます。文部科学省のサイトによると、現地校やインターナショナルスクールを経て帰国した子ども達を追跡調査したところ、帰国後すぐに国内学校に適応できる条件として、1.補習授業校の勉強をしっかり行うこと 2.家庭内では日本語を使うこと 3.日本語の本を読むこと の3つが必要との報告があります。
(参考元:文部科学省サイト「補習授業校の性格」
)
日本人学校との違いについて
日本語補習授業校と間違えやすいのが、「日本人学校」です。日本人学校とは、海外に住む日本人の子どもたちを対象としており、国内の小中学校と同じ教育を受ける教育施設のことです。これに対して、日本語補習授業校とは、前述のように現地校に通う日本人の子ども達を対象とした施設で、海外赴任で将来帰国する予定の子ども達が通学しています。
日本語補習授業校の特徴
日本語補習授業校には、学校によって異なりますが、幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、文部科学省から無料で配布された教科書を使って授業を行います。公立校ではないため、国によるカリキュラムの規定がなく基本的に授業形式は自由です。現地の日本人会などが主体となって運営しています。いつでも日本国内の学校に編入できるよう「日本の学校制度に基づいた教育を行う」ことをベースにしており、日本の学校と同様、4月~3月の年度構成で入学式、卒業式、運動会、遠足、社会見学などの行事も行っています。日本文化の継承を目的に、正月にはかるた大会や餅つき、書き初めを、夏には七夕の短冊づくりなど季節の行事にも取り組んでいます。また、どの学部でも特に力を注いでいるのが国語の授業。その他小学部では算数、社会、生活、理科も行っていますが、音楽、美術、保健体育などをカリキュラムに組んでいる学校は少ないようです。
国語学習における項目
日本語補習授業校では、帰国後の日本語力低下を避けるため、特に国語力の基礎づくりを行っており、特に以下の項目を重点的に指導しています。
音読
発声や発音を正しくする日本語の調子を感覚的につかむ
音読や朗読を上手に行う
作文
語彙(ごい)を増やす言葉づかいや文法の関心を高める
論理的思考力を伸ばす
視写(文字を見て書き写す)
集中力をつける筆圧感を養う
漢字に対する苦手意識を軽減する
漢字
語彙(ごい)を増やす理解力を深める
帰国後の漢字学習の基礎を固める
日本語補習授業校で学び日本に戻ってから役立つこと
現地校との両立は大変ですが、日本語補習授業校で学んだことが、帰国後も日本の学校にすぐに適応できる経験になるため受講生から「日本語の勉強をしてよかった!」「家でも日本語を使って役立った!」という声が多く聞かれます。グローバル化する社会の中、語学力を高めるだけでなく、外国人への柔軟な対応力、そして海外だからこそ分かる日本人らしさも学べるのが日本語補習授業校ではないでしょうか。今後もグローバル社会で、日本と世界をつなぐ人材が数多く輩出されることでしょう。