• 2212月
    Categories: tanka, 雑感 Comments: 0

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    2014年から担当している、
    ミャンマー少数民族の難民の皆さんの日本語教室。
    そのご縁で知り合った、難民ナウ!代表の宗田先生が出演されると知り、
    国境なき子どもたち(KnK)主催の番組、
    「今からつくるシリアとの関わり」を視聴しました。

    聞きながら、シリアについて文章を書いたことを思い出しました。
    今日はそれを以下に転記します。
    2015年、当時参加していた短歌結社の歌誌に掲載された文章です。

    ——-

    隔てなきたった一つの太陽を七十億の民が眺むる

    去年の夏の全国大会で第四位に推していただいたこの拙歌を含む
    六首を賀状に書いて送ったところ、内戦が始まる前年までの二年間、
    青年海外協力隊の日本語教師としてシリアに派遣されていた教え子
    から封書が届きました。

    この「隔てなき」で始まる歌を読んで驚いた、それは彼女が日々
    強く思っていることと同じだったからだとありました。

    2008年にシリアに派遣された彼女は、日々の様子を頻繁にメールで
    送ってくれました。日本で人気の歌手や、韓国や中国のドラマが
    テレビで見られること、派遣された学校では、愉快で明るいシリアの
    学生さんたちからエネルギーを与えてもらいながらも、慣れぬ授業や
    テスト作りに四苦八苦している様子などが事細かく送られてきました。

    派遣されて一年たった時には、学生たちやシリアから離れるなんて
    考えられないと書いてありました。シリアで自分が無事に過ごせるのは
    シリアの人のおかげ。たとえば、隣の文房具屋さんは「〜がほしい」
    と言うと、あちこち問い合わせてその場所をメモに書いてくれる、
    タクシーの運転手さんにそれを見せると連れて行ってくれる、
    タクシーがつかまらないときは、警察に頼めばつかまえてくれる。
    シリアの人は本当に親切です…と。メールにはクラスや日本フェアなどの
    写真が、よく添付されてきました。
    彼女は、こうした良い思い出だけを胸に、任期を終えて日本に帰って
    きました。

    そして翌年、シリアに内戦が起こりました。かつて私が見た写真、
    彼女と一緒に写っていた若い学生たちのうち、今、何人が生きているか
    わからないと、かけてきた電話口で彼女は声を詰まらせました。

    内戦は今も続き、彼女も未だ失意の中にいます。しかし、大学、高校、
    小中学校、町、色々な所で、かつての平和で良きシリア、人々の優しさ、
    温かさを、講演してまわっているそうです。

    手紙には、去年の夏に機会があって詠んだという彼女の歌も書かれて
    いました。

    はらからをあまねく照らし高光る つゆへだてなき日こそ尊し

    偶然にも、ここに「へだてなき」という私が詠ったのと同じ言葉が
    ありました。
    いつかきっと、いや、彼女がいる間に行きたいと何度も書いていながら
    結局行けなかったシリア。今の状況からは、おそらく私がシリアに行く
    機会はもうやってこないと思います…。

    「先生、いつも輝く光でいて下さい!」その手紙はそう締めくくられて
    いました。私自身は決して輝く光などではないのですが、でも、短歌が、
    そこに流れる思いが、彼女にそう思わせたのだと思いました。
    かの国々に隔てなく日が照り続け、平和な日々が戻ることを願って
    やみません。

    ——-

    こういったことに、どのように関わったらいいかを見つけたくて、
    番組を視聴しました。録画はここで見られます

    私たちが年明けに企画しているセミナー、
    生活者としての難民の皆さんと共に」〜日本語の学習が人生を豊かにする〜
    1月17日(日)、zoomウェビナーによるオンライン配信です。
    まず知ることから、と思っています。よかったらご参加ください。

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