この間の金沢で、いずれ恩師となる先生に紹介していただいた本。
『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース著。
以下は、訳者の前田まゆみさんによる「はじめに」の一部です。
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いま、わたしたちの世界は緊密につながり合っていて、
じぶんの気持ちや、毎日がすばらしかったりつまらなかったり、
といったことを伝える手段をいろいろ持っています。
でも、コミュニケーションのスピードや頻度の高さは
つねに誤解をうむ余地にもなり、
わたしたちは今までになく、翻訳のなかで迷子になっています。
頻繁にすばやくコミュニケーションをすることはできても、
言葉の解釈や、そこにこめられた感情や要望などの
理解のギャップをうめることは、そう簡単にはできないのです。
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“ひとことでは訳せない、世界のユニークな単語たち”が計51個。
たとえば「ポーレッグpalegg(aの上に⚪︎あり)」ノルウェー語。
「パンにのせて食べるもの、何でも全部」を意味するそうです。
じゃあ、同じくこの間の金沢で会ったご夫妻からいただいた、
能登半島大脇昆布製の「トーストにかけて食べるこんぶ」も
ノルウェーではポーレッグなのだなと。
インドの西南部地方の言語、トゥル語の「カレル」は、
「肌についた、締めつけるもののあと」、
たとえば、ちょっときつい腕時計とか小さめの靴下のあとなど。
これを読んで、我が故郷で言う「たごまる」を思い出しました。
セーターの下に着ているシャツがずり上がって、腕のところで
ぐしゃぐしゃっとまとまっている状態、「たごまってる」。
一昨日の文化庁の委託事業、
「「生活者としての外国人」のため日本語教師初任者研修」の
初日の第一発目の私の講座中にこれを突然思い出して緊急脱線、
この「たごまる」の話を“私の故郷 足利”の言葉としてしたら、
「私のとこ岩手でも言いますよ!」と目の前の受講生の一人が。
実家の家族や地元の友だちにしか通じないと思っていた感覚を、
この岩手の人と共有できた!という感動。
急いで調べたら、北海道弁、仙台弁、茨城弁と、出てくる出てくる。
そうなのだぁ。日々是発見。
というように、土曜日の午前中は文化庁の講座(写真左下)を、
目の前の受講生とWEBで参加している受講生両方に向けて。
午後は香港に向けてのオンライン説明会を若者たちと(写真右上)。
便利な世の中になりましたね。と書きながら、
冒頭に引用した前田まゆみさんのことばがチラリと頭をよぎる。
さらに、日曜日はAEONでのボランティア通訳ガイド養成講座で、
十八番の異文化理解講座「外国人の「なぜ?」」。
駅でユンケル黄帝液をぐびぐび飲んで臨みましたが^^
反応のいい皆さんと、楽しく元気になれたひと時でした。
ことばのあれこれを考えること、とても好きなので、
この仕事やめられないなと思います。
翻訳できない日本語を伝え、理解してもらうのも先生の仕事ですね。
私はといえば、最近はもっぱら、
日本を背負って「べき論」言うのが仕事のようになってますけど^^;