• 276月
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    茨木のり子の詩。
    「自分の感受性くらい」

    ——-

    ぱさぱさに渇いてゆく心を
    ひとのせいにはするな
    みずから水やりを怠っておいて

    気難しくなってきたのを
    友人のせいにはするな
    しなやかさを失ったのはどちらなのか

    苛立つのを
    近親のせいにはするな
    なにもかも下手だったのはわたくし

    初心消えかかるのを
    暮しのせいにはするな
    そもそもが ひよわな志にすぎなかった

    駄目なことの一切を
    時代のせいにはするな
    わずかに光る尊厳の放棄

    自分の感受性くらい
    自分で守れ
    ばかものよ

    そして山本有三。

    ——-

    たったひとりしかない自分を
    たった一度しかない一生を
    ほんとうに生かさなかったら
    人間生まれてきたかいがないじゃないか

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