エスカレーター、
東京は、右が歩く人、左が歩かない人、
大阪は、右が歩かない人、左が歩く人。
その、左が歩く人の地に来ました。
石黒圭先生が書かれた、
『日本語は「空気」が決める 社会言語学入門』(光文社文庫)
という本に、「肉まんか豚まんか」という話があります。
皆さんはこれを何と呼びますか。
私は関東で生まれ育ったので、
これは「肉まん」で、中には豚肉が入っています。
けれど、中が豚肉だったら、関西の人は「豚まん」…ですよね。
どうしてそう呼ぶかと言うと、
関西の人にとって「肉」と言ったら、普通「牛肉」を指すから、
この、中に豚肉が入ったものを「肉まん」とは呼ばない。
もし、肉まんと呼ぶなら、中に牛肉が入っていてしかるべし。
一方、関東の人にとっては「肉」と言ったら豚肉が普通だから、
豚肉が入っているこれを「肉まん」と呼ぶ。
ということから、関東の私が「豚まん」と言っている人を見たら、
「ああ、おそらくこの人は関西の人なのだな」と思うわけです。
反対に、「肉まん」と呼んでいる人のことを、
関西の人はおそらく「関東の人だな」と想像するのですね。
このように、話し手が話した言葉から、
聞き手が話し手の背景を想像できるのは、
なぜその言葉が選ばれたかを、
話し手の所属しているグループに結びつけて理解するから、
なのだそうです。
この、普通を「無標」、特別を「有標」と言います。
…と、これは、日本語教師養成講座通信コースの基礎講座で
私が担当している「社会言語学」の中で話していることです。
こういうことを「おもしろい」と思えたら、
向いていると思います。日本語教師に。ようこそ!同業に。
で、どうして大阪に?は、教育総合展(EDIX)関西のためです。