威張れる話ではないですが、見切り発車が得意で、
かなしいかな、さっさと見切るのも得意です。
短歌もその一つで、2012年ごろ勢いよく始めたものの、
数年前に断念し、さっと身を引きました。
365日毎日一首詠むぞと決めて成し遂げたのは、
今、毎日書くぞと決めてこれを書いているのと同じですが、
生き方が短期決戦だから、燃え尽きるのも早いのでしょうね。
しかし、華々しいことがなかったわけではなく、
2015年に、近藤芳美賞という短歌の賞に入選しました。
一つのタイトルで十五首詠むというものです。よかったら以下。
「余瀝飲み干し…」
・図に乗って昨日は少し飲み過ぎた朝のトイレにニッカが香る
・呑み食いで仕事はせぬと電話切る打ちっぱなしも三度でやめる
・大事なる和なれど和のみで成り立たぬ組織もビールもまとめて苦し
・神谷バー寄りて求めし電気ブランノスタルジアが味覚鈍らす
・「おお!さすが獺祭」などと言うてみて名に呑まれたと顔赤くする
・賀茂鶴は戦艦大和とうんちくを言いて止まらぬ蕎麦屋の酔漢
・奈良漬けで酔いし父より生まれたる我は好んで酒の歌詠む
・遺言にあらねど父の通夜振る舞い酒なきことをいかに思いし
・爪先に心臓ありと思ゆほど我を酔わせし初コークハイ
・ビール壜片手に勝手にシンドバッド居酒屋清瀧今もあるらし
・巫女にまだ注がれぬうちに盃の余瀝飲み干し妻となりにし
・味噌汁を小鍋に分けて酒粕を落として溶かすわたくし用に
・雨の日はマッコリですと教え子が言っていたなと棚に手延ばす
・上海で好かぬ人よりもらいたる紹興酒の瓶捨てずに飾る
・イスラムの教えによりて飲めぬ国だからなおさらビンタン旨し
写真は、私が好きなお酒、東の横綱の紹興酒です。