• 238月
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    柿の実の形、
    裏に「日本堤一ノ三 松 丸山酒店 電話 根岸 三壱一」
    とある器は、子供の頃のうちの梅干し入れで、
    今は私のところに来て、梅干し入れをしています。

    こういう歴史の残骸のようなものをもらってくるから、
    よく言えば、物持ちの良さあふれる家が、
    ますます雑多なものの集合体のようになっていきます。

    祖父母の家にあった、銭形平次の家にあるような、
    長火鉢もあり、その引き出しには
    祖父母の新婚旅行の時のと思われる領収書も。
    昭和9年4月21日、鬼怒川温泉ホテル。

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    別にある伝票は、夕飯、お酒、煙草、お土産のお饅頭と、
    仲居さんへの心付けまで。
    結婚式の日に初めて相手の顔を見るという時代、
    祖母は、結婚前に家を訪ねてきた祖父の顔を、
    普通の女の人だったら、絶対に顔を伏せているような場面で
    チラッと見て、それを祖父に気づかれたらしいです。

    90過ぎまで生きた祖母は、
    自分の葬儀の後の会食はここのお店で、というのと、
    集まる人の席順を遺していました。

    自分も遺しそうだなあと、チラッと思います。

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