柿の実の形、
裏に「日本堤一ノ三 松 丸山酒店 電話 根岸 三壱一」
とある器は、子供の頃のうちの梅干し入れで、
今は私のところに来て、梅干し入れをしています。
こういう歴史の残骸のようなものをもらってくるから、
よく言えば、物持ちの良さあふれる家が、
ますます雑多なものの集合体のようになっていきます。
祖父母の家にあった、銭形平次の家にあるような、
長火鉢もあり、その引き出しには
祖父母の新婚旅行の時のと思われる領収書も。
昭和9年4月21日、鬼怒川温泉ホテル。
別にある伝票は、夕飯、お酒、煙草、お土産のお饅頭と、
仲居さんへの心付けまで。
結婚式の日に初めて相手の顔を見るという時代、
祖母は、結婚前に家を訪ねてきた祖父の顔を、
普通の女の人だったら、絶対に顔を伏せているような場面で
チラッと見て、それを祖父に気づかれたらしいです。
90過ぎまで生きた祖母は、
自分の葬儀の後の会食はここのお店で、というのと、
集まる人の席順を遺していました。
自分も遺しそうだなあと、チラッと思います。